手術・治療のご案内TREATMENT
脊髄刺激療法(SCS)について
脊髄刺激療法(SCS)とは
脊髄刺激療法 Spinal Cord Stimulation(SCS)は、鎮痛剤や神経ブロックなどで充分な鎮痛・除痛が得られない痛みに対して、脊髄を微弱な電気で刺激することで、難治性の痛みを緩和する外科的な治療方法のひとつです。
主に、神経が障害されたために生じる痛みや、血流が不十分なため生じている痛みなどに有効と考えられており、これまでに世界中で多くの痛みの患者さまに実施されてきました。
日本では1992年から保険適応になっています。
対象となる痛み
脊髄刺激療法が有効な痛みには、慢性疼痛の中でも神経の障害による痛み(神経障害性疼痛)と末梢血管障害による痛みがあげられます。
神経障害性疼痛
脊椎手術後の痛み、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、切断後痛(断端痛約1週間程度、入院して頂く場合があります・幻肢痛)、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性ニューロパチー、脊柱管狭窄症 など
末梢血流障害
閉塞性動脈硬化症(ASO)、 バージャー病、糖尿病性壊疽、レイノー病・レイノー症候群 など
脊髄刺激療法のメリット・デメリット
メリット
- 保険適応で治療できる
- 局所麻酔で施行するため、ご高齢の方や合併症のある方でも安心して受けられる
- 治療後でも、MRI検査が可能 ※条件付き
- モルヒネが全く効かない難治性疼痛にも効果が期待できる
デメリット
- 約1週間程度、入院して頂く場合がある
- 稀に合併症を発症することがある
脊髄刺激療法は「お試し」ができます
脊髄刺激療法は、リードのみを挿入し、刺激の効果を確認する「試験刺激(トライアル)」と、効果が確かめられた後で刺激装置本体を体内へ植込む「本植込み」とがあります。
トライアルで効果が認められれば継続し、効果が確認出来ない場合は中止します。
痛みが和らぎ、今後も治療を継続したい場合に2回目の刺激装置本体の植込みを行いますので、納得・安心して治療を受けて頂く事ができます。
手術に伴う合併症について
合併症は非常に稀ではありますが、その発生はゼロではありませんので、手術前に主治医から十分説明します。
- 感染
→ 埋め込んだ電極リードや刺激装置を抜去して対応 - 血腫
→ 血腫を取り除く処置で対応 - 神経損傷
→ 1〜2ヶ月ほどで自然治癒 - 頭痛と嘔気・嘔吐
→ 1〜3日前後、1週間ほどで自然治癒 - リードの断線、接続不良
→ 入れ替えを行い対応